当日キャンセルを減らす|事前決済とキャンセル規定の作り方

当日キャンセルを減らす|事前決済とキャンセル規定の作り方

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仕込みを終え、器具を用意して待っていた時間に、誰も来ない。その枠が埋まっていたので、同じ時間の問い合わせは断ってあります。

この記事では、当日キャンセルと無断キャンセルを仕組みで減らす手順を扱います。予約システムそのものの比べ方は予約システムの選び方にまとめました。ここでは、入れたあとの運用の話に絞ります。

目次

空いた枠は、その日のうちには埋まらない

当日に空いた枠は、ほとんどの場合そのまま空きます。急に空いたことを知っている人が、ちょうどその時間に動けるとは限らないからです。

失うのは、その枠の売上だけではない

空いた枠の裏側には、売上以外のものも積み重なっています。すでに使ってしまった時間と材料、そして受けられなかった別の予約です。

  • 仕込みや準備にかけた時間
  • 使う予定だった材料や消耗品
  • 同じ時間に入れられたはずの、別の予約
  • その枠に合わせて組んだシフトの人件費
  • お客さまへ連絡し、日程を取り直す手間

「減らす」と「取り返す」は、別の対策

打てる手は二方向あります。起きる件数そのものを減らすことと、空いてしまった枠を埋めることです。この記事で扱うのは前者です。埋める側は、キャンセル待ちの登録や来店中の声かけといった別の設計になります。

まず、消えた予約を記録する

対策を決める前に、何が起きているかを一覧にします。「最近多い気がする」ままでは、どこに手を打つか決められません。

  • 予約が消えた日と、時間帯
  • 連絡があったか、なかったか
  • 初めての方か、来店したことのある方か
  • どの経路から入った予約か(ネット予約・電話・来店中の次回予約)

しばらく続けると偏りが見えてきます。特定の時間帯に集中している、初回の予約に多い、という形で出ることが多く、そこが手を付ける場所になります。記録の置き場所は顧客管理の選び方で扱っています。

まず減らせるのは「うっかり」

連絡なく来られなかった理由の多くは、意図的なものではありません。予約したこと自体が記憶から抜けている、という単純な理由です。予約日が先になるほど、その余地は広がります。ここは、思い出してもらう連絡だけで減らせます。

届く経路を選ぶ(メール・SMS・公式LINE・アプリの通知)

送っただけでは意味がなく、見ていただいて初めて効果が出ます。経路ごとに、届きやすさと費用の性質が違います。

  • メール:予約システムの基本機能に含まれることが多い。迷惑メールの側に入ると読まれない
  • SMS:電話番号だけで届き、開かれやすい。送信ごとに費用がかかる形が一般的
  • 公式LINE:普段見ている画面に届く。予約システムと連携できるか、両方に費用がかかるかを確認する
  • 予約システムのアプリ通知:お客さまがアプリを入れている場合に限られる

選ぶ基準は、お客さまの年齢層と、いま連絡が取れている手段です。LINEで送る場合の考え方はLINE公式アカウントの使いどころにまとめています。

送るタイミングと、文面に入れるもの

タイミングは業態で決めます。準備や仕入れが必要な業種なら早めに、その日の都合で動く業種なら来店に近い頃に。回数を増やすほど費用と手間は積み上がります。文面に入れるのは次のものです。

  • 日時と、予約したメニュー
  • 店の場所と、迷いやすい場合の目印
  • 変更・キャンセルの連絡先、または操作できる場所
  • キャンセル規定を確認できる場所

ここだけは見る

リマインドには、変更とキャンセルの手段を必ず入れてください。連絡しにくい状態を放置すると、「言い出しにくいので黙っている」という形に変わります。変更が簡単にできるほど、連絡のないまま消える予約は減ります。

事前決済という手

リマインドで減らしきれない分に効くのが、予約の時点でお金が動く形にすることです。ただし、広く適用するほど良いわけではありません。

全額の前払い・一部だけの前払い・カード情報を預かる形

オンライン決済を予約に組み合わせる形は、大きく次のように分かれます。

  • 全額の前払い:予約の時点で代金をすべて受け取る。当日の会計がなくなる
  • 一部だけの前払い:決めた分を先に受け取り、残りは来店時に支払っていただく
  • カード情報だけを預かる:予約時には引き落とさず、規定に当てはまる場合にだけ請求する

前払いは抑止の力が強いぶん、予約をためらう方も出ます。預かるだけの形は負担が軽い代わりに、請求する場面での説明が必要です。単価と、初めての方の割合で選び分けます。

どのメニューに、どこまで適用するか

すべてを前払いにすると、通い慣れたお客さまには手間が増えるだけになります。適用する範囲を絞るのが現実的です。

  • 初めて来店される方の予約だけ
  • 長時間の枠や、席・設備を占有するメニューだけ
  • 材料を先に仕入れる必要があるメニューだけ
  • 予約が集中する時期の予約だけ

絞ったときは、その理由を予約画面の説明文に書きます。「材料を先に仕入れるため」の一文があるだけで、受け取り方は変わります。

始める前に、返金の手順を決めておく

事前決済を入れると、返金という作業が新しく発生します。始めてから考えると、混雑した日に手が止まります。先に手順を決めます。

  • 管理画面から、自分で返金の操作ができるか
  • 返金したとき、支払った決済手数料が戻るかどうか
  • お客さまの口座やカードに戻るまでの期間を、どう案内するか
  • 誰が返金を操作できるか(権限を分けられるか)

手数料と入金の仕組みそのものはキャッシュレス決済とレジの選び方で整理しました。

前払いで受け取ったお金の扱い

サービスを提供する前に受け取ったお金は、帳簿の上では前受金として扱われます。いつの売上として計上するか、返金したときにどう処理するかは、事業の形態によって変わります。税理士にご確認ください。

キャンセル規定は「書いてあるか」より「見せてあるか」

キャンセル料の規定を作ること自体は、それほど手間ではありません。難しいのは、予約する方に読んでいただくことです。ホームページの下のほうに置くだけでは、まず読まれません。

予約が確定する前の画面に置く

置く場所は、予約が確定する手前です。日時とメニューを選んだあと、確定のボタンを押す直前に表示されるのが理想です。

予約システムによっては、確認画面に文章を差し込む欄や、チェックを入れないと先へ進めない設定があります。いま使っている管理画面で確認してください。電話や来店中に受ける予約でも同じで、口頭で添えたうえで予約票に同じ文言を残します。

同意した記録を残す

見せたかどうかは、あとから思い出せません。記録として残る形にしておきます。

  • どの文面に同意したか(規定を書き換えたなら、いつ書き換えたかも残す)
  • 同意した日時が、予約の記録と一緒に残るか
  • 電話や来店中に受けた予約は、誰がどう伝えたか

規定を変えるときは、変える前に予約を入れている方へどちらの内容が適用されるのかも、あわせて決めておきます。

規定に書く項目(金額を決める前に決めること)

いくら申し受けるかは、あとの話です。先に決めるのは項目です。

  • いつまでの連絡なら費用がかからないのか(決めた期日)
  • その期日を過ぎた場合、どの割合を申し受けるのか(決めた割合)
  • 連絡がないまま来店されなかった場合の扱い
  • 遅れて来られた場合、どこまで対応するか
  • 天候や体調など、事情がある場合をどう扱うか
  • 支払っていただく方法と、返金する場合の方法

規定の内容と、請求できるかは別の話

規定に書いてあることが、そのまま有効になるとは限りません。書き方や請求の可否は、業種や契約の内容によって変わります。判断に迷うときは、弁護士や、お住まいの地域の消費生活センターにご相談ください。この記事は、規定を先に決めて見える場所に置く、という運用の話にとどめます。

実際に請求するかは、店の判断

規定を作っても、書いたとおりに毎回請求しなければならないわけではありません。請求するかは、そのつど店が決められます。決めておくべきなのは、金額よりも進め方です。

その場で決めず、連絡の順番を先に決めておく

来られないと分かった直後は、こちらも落ち着いていません。その状態で判断すると、あとから振り返って後悔する対応になりがちです。

先に決めておくのは順番です。まず、無事かどうかと状況を確かめる連絡をする。次に、次回の予約の相談をする。規定の話は、そのあと。文面もひな形にしておくと、忙しい日に言葉が強くなるのを防げます。

取り立てより、次に来ていただくことを優先する

請求にかかる手間と、そこで失う関係を並べて考えます。一度の枠の代金と、その方が続けて来てくださる場合とを比べると、多くは後者のほうが大きくなります。

請求しないと決めた場合も、規定を伝えないままにはしません。「今回はこのままで大丈夫です」と伝えたうえで、次回は連絡をいただけると助かります、と添えます。

それでも請求すると決める場面はあります。規定のどの部分に当たるのかを示し、支払いの方法を案内する形です。強い言葉は使わず、事実と手順だけを伝えます。相手が応じない場合は、弁護士や消費生活センターの窓口にご相談ください。

常連と新規で扱いを変えるか

同じ規定を全員に当てはめるのか、相手によって変えるのか。ここを決めておかないと、現場が困ります。

人ではなく、条件で線を引く

扱いを変えること自体は問題ありません。問題になるのは、線引きが人によって違うことです。「あの人は良くて、自分は請求された」という状態が、いちばん尾を引きます。変えるなら、条件で決めます。

  • 来店の状況(初めての方か、続けて来ている方か)
  • 同じことが繰り返し起きているかどうか
  • 押さえていた枠の大きさ(時間・席・設備)
  • 材料の仕入れや、外部への手配が発生していたか

条件で決めておけば、判断する人が誰でも同じ結論になります。迷うときは、実際に起きた事例を並べ、それぞれをどう扱いたいかから逆算します。

スタッフ全員で、同じ答えになる状態にする

決めた線引きは、口頭ではなく紙かデータで共有します。予約の受け方と一緒に一枚にまとめるのが、いちばん手間がかかりません。新しく入った方にも最初に渡します。

迷ったときに誰へ確認するかも決めます。その場で判断させないことが、ばらつきを防ぎます。決めごとを現場に根づかせる手順はスタッフに使ってもらうにはにまとめました。

記録の書き方にも気をつけます。ご本人から開示を求められる場面や、全員の目に触れる場面があります。事実だけを短く書き、人柄への評価は書かないでください。

よくある質問(FAQ)

  • リマインドは、どの手段がいちばん効きますか?

    お客さまが普段見ている画面に届く手段です。年齢層や、いま連絡が取れている手段によって変わります。ひとつに絞らず、予約時に教えていただいた連絡先に合わせて使い分ける店もあります。

  • 事前決済にすると、予約が減りませんか?

    減る場合はあります。気軽に立ち寄っていただきたい業態では、とくに影響が出ます。すべてに適用せず、初めての方の予約や長時間の枠だけに絞る形から試し、予約の入り方を見ながら調整してください。

  • キャンセル料は、規定に書いておけば必ず受け取れますか?

    書いたとおりに受け取れるとは限りません。規定の書き方や請求の可否は、業種や契約の内容によって変わります。判断に迷うときは、弁護士や、お住まいの地域の消費生活センターにご相談ください。

  • カード情報だけを預かる形は、どの予約システムでも使えますか?

    使えるとは限りません。事前決済に対応していても、預かるだけの形には対応していない場合があります。使いたい形が決まっているなら、対応の有無と、請求するときの手順まで契約前に確認してください。

  • 常連の方にも、規定を適用したほうがよいですか?

    どちらでも構いませんが、線引きを条件で決めて全員で共有しておくことが大切です。対応する人によって答えが変わる状態が、いちばん問題になります。迷ったときの確認先も決めておいてください。

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