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治療院や整体の道具選びは、他の業種と少し順番が違います。予約の枠が、メニューごとの施術時間でそのまま決まるからです。そこへ施術記録と、回数券の残り回数の管理が重なります。
この記事では、1人か少人数で営む整体院・整骨院・鍼灸院・リラクゼーションサロンを想定して、予約・カルテ・回数券の組み方を整理します。扱うのは道具と記録の話だけで、施術の内容や効果には触れません。
予約と施術記録は、性質が違うので分けて考える
予約と施術記録は、どちらも同じお客さまの情報です。ただ性質が違うため、混ぜたまま道具を探すと必要な機能が絞れません。
予約は外に公開する情報、記録は内部の情報
予約は、来院する人に見せるための情報です。空いている枠、メニュー、所要時間が外に出ます。一方の施術記録は院の中だけで使うもので、外へ出ることを想定していません。
この違いは、そのまま選定の条件になります。予約側に問われるのは見やすさと受け付けやすさ、記録側に問われるのは書きやすさと見せない仕組みです。1つのシステムで両方をまかなう場合も、評価は別々に行います。予約側の比べ方は予約システムの選び方にまとめました。
ネット予約
施術記録
役割が正反対のため、同じ基準では選べません。1つにまとめる場合も、それぞれの側で確かめます。
1人で回す場合の、施術中の予約受付
1人で運営していると、施術に入っている間は手が離せません。その時間に来た問い合わせをどう受けるかで、取りこぼしの量が変わります。
ネット予約は、その時間帯を自動で埋めるための仕組みです。ただし、初めての方の相談は声を聞いて受けたい院もあります。その場合は予約だけ自動で受け、相談は折り返す時間帯を決めておくと、施術中に判断を挟まずに済みます。
1人の院とスタッフのいる院では、必要なものが違う
1人なら、予約・記録・会計が1つの画面で完結することが最優先です。スタッフがいる院では、誰がどの情報を見られるかを分ける機能のほうが先に要ります。同じ業種でも、選ぶ道具はここで変わります。
施術記録(カルテ)をデータにするときの注意
紙の記録をデータに移すと、探す時間は確実に短くなります。一方で、書く時間と、預かる責任は増えます。この2つを見落とすと、しばらくして紙に戻ります。
記録項目を絞り、書く時間を増やさない
データ化でつまずく最大の原因は、入力項目を増やしすぎることです。紙なら空欄のまま流せた欄が、画面では毎回目に入ります。
最初に決めるのは「次の施術で必ず見る項目」だけです。前回の来院日、触れた部位、ご本人の申告、次回へのメモ。この程度から始め、足りなければ後で足します。選択式にできる項目をボタンにしておくと、施術の直後に書き終えられます。
手書きの図やメモを残したい場合の方法
体の図に印を付ける、手書きの線で残す。この形が合っている院は少なくありません。データ化するからといって、手書きを捨てる必要はありません。
- 手書きに対応した機能があるシステムで、タブレットに直接書く
- 紙に書いたものを撮影し、お客さまごとに添付する
- 図の部分だけ紙で残し、文字の情報だけをデータにする
下の2つは紙の運用を止めずに始められます。ただし3つ目を続けると、探す場所が2か所のまま固定されます。いつまでに一本化するかを先に決めておきます。記録側の選び方は顧客管理(カルテ・台帳)の選び方で扱っています。
保存場所と、閲覧できる人を限定する
施術記録には、氏名や連絡先に加えて、ご本人が申告した体の状態が並びます。名簿よりも慎重に扱う情報です。用語としての整理は個人情報にまとめています。
決めるのは3点です。誰が見られるか、どの端末に残るか、写真をどこに置くか。写真は個人のスマートフォンに残りがちなので、撮る前に保存先といつ消すかまで決めます。
なお、記録の保存期間や開示の求めへの対応は、業態や資格によって扱いが異なります。個別の判断は、所管の窓口や専門家にご確認ください。
契約前に確認
この記事では、施術の内容や効果に関わる表現は扱いません。広告や院内の掲示で成果を言い切る書き方は、景品表示法の観点からも避けるのが無難です。表現の可否は所管の窓口や専門家にご確認ください。
回数券・サブスクの管理をどこでやるか
回数券や月額のコースを出すと、お金を先に受け取り、施術を後から返す形になります。管理する対象は「売った枚数」ではなく「まだ返していない回数」です。
残回数の把握を、紙とツールで二重にしない
よくあるのは、お客さまの紙の券に判を押しながら、院の台帳にも回数を書く形です。どちらも正しく見えるので、食い違ったときに直しようがありません。
数える場所は一か所に決めます。院側のシステムを正とし、紙の券は控えとして扱うのが分かりやすい形です。逆に紙を正とするなら、システム側には販売の記録だけを残します。両方で数えないことが要点です。
選ぶときは、次の3つが画面で分かるかを確認します。いまの残り回数、いつ買ったか、どの日の施術で1回減ったか。3つ目が残らないシステムは、後から食い違いを追えません。
前受金として残ることの扱いは専門家に相談する
回数券の代金は、受け取った時点ではまだ施術を提供していないお金です。会計上どう扱うか、いつ売上として計上するかは、税理士や所轄の税務署にご確認ください。この記事では判断しません。
道具の側でできるのは、後から説明できる記録を残すことです。販売日、金額、決済の手段、消し込んだ日付、残り回数。これが並んでいれば、返金の求めがあったときも、何回分が残っているかをその場で示せます。決済側の記録はキャッシュレス決済とレジの選び方もあわせて確認してください。
回数券は、条件を先に書いてから売る
有効期限を設けるか、途中で来られなくなったときにどうするか、譲渡を認めるか。売った後に決めると必ずもめます。期限や返金の可否は法的な判断が絡むため、条件を固める前に専門家へ確認し、決まった文言を掲示・控え・システムの表示でそろえます。
キャンセルと予約枠の埋め方
治療院の予約枠は、施術時間の長さでできています。1枠が空くと、その時間はそのまま空きます。直前に埋め直す手が限られる分、事前の連絡が効きます。
リマインドと、当日キャンセルの扱い
前日や当日朝の確認連絡は、多くの予約システムに入っています。手段はメール、SMS、メッセージアプリなどで、届きやすさと費用が違います。通数で費用がかかる手段は来院数に比例して積み上がるので、月の想定通数で見ます。
当日キャンセルは、料金を取るかより先に「いつまでの連絡なら無料か」を決めます。その線を予約完了の画面と確認連絡の両方に書いておくと、当日のやり取りが短く済みます。
定期的に通う人の、次回予約の取り方
治療院は、次の来院がその場で決まりやすい業種です。会計のときに次を押さえられるかどうかで、翌月の埋まり方が変わります。
確認したいのは、院側の画面から数手で次の枠を取れるかです。お客さま側だけが作り込まれたシステムだと、その場で入れるのに手間取ります。同じ曜日・同じ時間で続けたい方もいるので、繰り返しの予約をまとめて登録できるかも見ます。
ツールの選定で、この業種が外せない条件
ここまでを選定時の確認項目に落とします。治療院で外せないものだけを挙げます。
メニューごとの施術時間と、準備時間の設定
メニューによって施術の長さが違うなら、枠の長さもメニューごとに変えられる必要があります。初回はカウンセリングが入るので長くしたい、という違いも同じです。
あわせて見るのが、施術の前後に入れる準備と片付けの時間です。この設定がないと予約が隙間なく並び、画面の上では成立していても実際には回りません。いま使っているメニュー表をそのまま登録してみて、設定できない項目が出たら、その差は毎日の手作業で埋めることになります。
顧客情報の権限管理(スタッフを雇う場合)
スタッフがいる院では、誰がどこまで見られるかを役割で決めます。施術記録を見る必要がある人と、予約表だけ見えればいい人は違います。受付だけを担当する方に、全員の記録が見える必要はありません。
決めておくのは、閲覧の範囲、書き換えの可否、そして辞めたときのアカウント停止です。停止は最終出勤日のうちに終える形にし、共有していたパスワードの変更も同じ日に片付けます。考え方は運用・セキュリティの記事にまとめています。
新しい道具をスタッフに使ってもらう段取りは、選定とは別に用意が要ります。手順は定着の記事を参考にしてください。
費用の目安の出し方
1つずつの月額は小さく見えても、必要なものを足すと印象が変わります。比べる前に、足す対象をそろえます。
予約・カルテ・決済を足して月額で見る
治療院で基本になるのは、予約、施術記録、決済の3つです。ここに確認連絡の通信費、会計ソフト、必要なら集客の掲載費が乗ります。
比べるときは、初期の設定費用、端末の代金、通数で増える費用、最低利用期間を含めて年額にそろえます。手順は年間の総額で判断するに書きました。
業種特化の1つにまとまったシステムと、予約・カルテ・決済を別々にそろえる形では、出口も違います。まとまっているほうが日々の手間は少なく、やめるときは全部が一度に動きます。どちらでも、記録を書き出せる形式があるかは契約の前に確認します。
1日の施術枠から、負担できる上限を出す
上限は、売上からではなく枠から考えると決めやすくなります。1日に取れる施術枠の数、月の営業日、実際に埋まっている割合。この3つを掛ければ、月に何回の施術ができるかが出ます。
そこへ施術1回あたりの単価を掛けたものが、その院の現実的な月の売上です。道具にかけられるのは、家賃と材料と自分の取り分を引いた残りです。金額を入れる前にこの順番を決めておくと、候補が絞れます。
逆に、来院数が少ないうちや、常連の方だけで枠が埋まっている院では、いま入れても負担のほうが大きくなります。予約の取りこぼしが起きていない、記録もすぐ出てくる。この状態なら、入れない判断で構いません。
入れ替えは1つずつ、静かな時期に
予約・カルテ・回数券を同時に変えると、どこで詰まったのか分からなくなります。いちばん手間取っているものから1つだけ動かし、ひと通り回してから次に進みます。
治療院の道具は、施術以外に取られている時間を減らし、預かった記録とお金を後から説明できる状態にするためのものです。どこから手を付けるか決めきれないときは、診断ページが入口になります。
よくある質問(FAQ)
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紙のカルテは、全部データに移し替えるべきですか?
過去の分をすべて入力し直す必要はありません。次に来院された方から順にデータ側で書き始め、過去分は必要なときだけ紙を見る形が現実的です。ただし、いつまでに一本化するかは先に決めておいてください。
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回数券の残りは、紙の券とシステムのどちらを正にすべきですか?
どちらでも構いませんが、片方に決めて、もう片方には回数を書かないことが要点です。両方で数えると、食い違ったときに直せません。選ぶ際は、どの日の施術で1回減ったかが残るかを確認してください。
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回数券に有効期限を付けても問題ありませんか。
期限や返金の可否は法的な判断が絡むため、この記事では触れません。専門家に確認したうえで条件を決め、その文言を掲示・控え・システムの表示でそろえてください。
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1人でやっているのですが、施術記録のデータ化は必要ですか?
記録を探す時間が短く済んでいるなら、急ぐ必要はありません。人数が増えて過去の記録がすぐ出てこない、間隔が空いた方の内容を思い出せない。こうした場面が増えてきたら検討の時期です。
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スタッフが辞めるとき、まず何をすればよいですか?
アカウントの停止と、共有していたパスワードの変更です。あわせて、個人の端末に施術の写真や連絡先が残っていないかを確認します。辞めると決まった時点で手順を書いておくと、当日に慌てずに済みます。

