スタッフが辞めるときの段取り|最後の勤怠・給与の締めから、アカウントと貸与物の整理まで

スタッフが辞めるときの段取り|最後の勤怠・給与の締めから、アカウントと貸与物の整理まで

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採用のときは準備に時間をかけても、辞めるときの段取りは決めていない。小さな事業では、そういうことがよくあります。退職の申し出は急に来ることが多く、日々の営業を回しながら、給与の締めや書類、ツールの整理を同時に進めることになります。

この記事では、スタッフが辞めると決まってから最後の給与を払い終えるまでに、店側が進めることを順番に整理します。雇用保険や社会保険、税の手続きは要件が細かく、個別の判断が必要になるため、ここでは「何を、誰が、どの順で確認するか」という段取りに絞ります。

目次

辞めると決まったら、まず「最終日」から逆算する

退職の申し出を受けたら、最初にやることは日付の確認です。日付が決まらないと、勤怠の締めも給与の計算も、アカウントを止める日も決められません。気持ちの整理より先に、事務の起点をそろえます。

最終出勤日と、在籍の最終日を分けて確認する

最後に店に出る日と、雇用契約が終わる日は、同じとは限りません。残っている休みを使ってから退職する場合、出勤は先に終わり、在籍はその後も続きます。

この二つを混同すると、アカウントを早く止めすぎて給与明細が見られなくなったり、逆に在籍が終わった後も店のツールに入れる状態が残ったりします。本人と話すときは、両方の日付を言葉にして、書面やメッセージで残しておきます。

手続きの担当と順番を、1枚にまとめる

退職にともなう作業は、勤怠・給与・書類・ツール・物の回収・引き継ぎと、担当が分かれがちです。店主が一人で抱えると、どれかが抜けます。

おすすめは、退職の段取りを1枚の表にしておくことです。行に作業、列に「担当」「期限」「済んだ日」を並べるだけで足ります。次に誰かが辞めるときもそのまま使えるので、最初の一回で作っておくと後が楽になります。

本人に伝えることと、店の中で共有することを分ける

退職の理由や条件は、本人の同意なく広げる話ではありません。一方で、シフトや担当のお客さまの調整には、残るスタッフへの共有が欠かせません。

「最終出勤日」「引き継ぎ先」「お客さまへの伝え方」のように、業務に必要な事実だけを共有すると決めておくと、話が余計に広がりにくくなります。

最後の勤怠を締める

最後の給与は、最後の勤怠の記録から計算されます。辞めた後に打刻の漏れが見つかると、本人に連絡して確認するのが難しくなります。在籍中のうちに、記録を確定させておきます。

打刻漏れと修正を、最終出勤日までに片付ける

最終出勤日の前に、その月の勤怠を本人と一緒に見直す時間を取ります。押し忘れや、あとから直した記録があれば、その場で理由を添えて確定させます。

勤怠ツールを使っている場合は、修正の履歴が残る形で直すことが大切です。記録の残し方や、ツールの選び方は勤怠・給与ツールの選び方で詳しく書いています。

残っている休みの扱いは、規程と専門家で確認する

残っている有給休暇をどう扱うかは、退職の場面でよく話題になります。ここは法律と就業規則が関わるため、店側の感覚で決めず、社会保険労務士や労働基準監督署の相談窓口で確認してください。

段取りとしては、残りの日数を勤怠ツールや台帳で本人と確認し、それを前提に最終出勤日を決める順番にすると、あとで食い違いが起きにくくなります。

シフトの穴を、残る人の負担だけで埋めない

一人抜けると、しばらくは残ったスタッフのシフトが厚くなります。ここを見ないでいると、次の退職を招くことがあります。

営業時間や予約の受付枠を一時的に絞る、予約を取らない時間帯をつくるなど、店の側で調整できることも一緒に考えます。新しく人を迎える準備はスタッフを採用するときに整えるもので流れを整理しています。

最後の給与と、渡す書類

最後の給与は、いつもの月と計算の条件が変わることがあります。さらに、退職した人に渡す書類もいくつか発生します。どちらも在籍中に準備を始めておくと、辞めた後の連絡が少なくて済みます。

最後の給与は、締め日と支払日の関係を先に確認する

在籍の最終日が締め日の途中にあたると、その月は日割りや控除の扱いが通常と変わる場合があります。どう計算するかは、給与ソフトの設定や、依頼している専門家の方針によって異なります。

給与計算を外に頼んでいるなら、退職が決まった時点で最終日を伝え、何をいつまでに渡せばよいかを聞いておきます。自社で計算するか外注するかの考え方は給与計算を外注するかでまとめています。

退職した人に渡す書類を、先に洗い出す

退職する人には、その年の源泉徴収票など、店から渡す書類があります。雇用保険に入っていた人であれば、失業給付の手続きに関わる書類が必要になることもあります。

どの書類が必要かは、雇い方や加入していた保険によって変わります。一覧を作り、それぞれ「誰が作るか」「いつ、どうやって渡すか」を決めておくと、本人からの問い合わせに慌てずに済みます。

給与明細をWebで配っている場合は、退職後も本人が明細を確認できるかどうかを確かめます。見られなくなる仕組みなら、最後の分まで控えを渡す方法を決めておきます。詳しくは給与明細の電子化をご覧ください。

社会保険・雇用保険の手続きは、窓口と専門家に任せる範囲を決める

保険の資格を失う手続きには、それぞれ提出先と期限があります。内容は制度の改正で変わることもあるため、年金事務所やハローワーク、社会保険労務士に確認するのが確実です。

契約前に確認

この記事は段取りの整理を目的としており、手続きの要否や期限の個別判断はしていません。必ず所管の窓口または専門家に確認してください。

業務ツールのアカウントと権限を止める

いまの小さな店は、予約・レジ・顧客管理・勤怠・チャット・SNSと、いくつものツールで回っています。辞めた人のアカウントが残っていると、顧客情報に外から入れる状態が続きます。悪意がなくても、ログインしたままの端末から誤って操作されることもあります。

その人が使っていたツールを一覧にする

最初にやるのは、その人がログインしていたものを洗い出すことです。店の管理画面だけでなく、SNSの管理者、共有のクラウドストレージ、公式LINEの管理画面、取引先のポータルなども含めます。

ふだんから「誰がどのツールに、どの権限で入っているか」の一覧があれば、この作業はすぐ終わります。権限の考え方は用語集の権限管理で説明しています。

止める日と、止める人を決める

アカウントは、在籍の最終日ではなく、最終出勤日の業務が終わった時点で止めるのが基本です。給与明細や勤怠の確認のように、辞めた後も本人に見てもらう必要があるものだけ、期限を決めて残します。

削除ではなく「停止」や「無効化」ができるツールなら、まず止めて、記録を持ち出してから消す順番が安全です。操作した人と日付は、段取りの表に書いておきます。考え方の土台は顧客データの守り方にまとめています。

共有パスワードと2段階認証の付け替え

店で一つのアカウントを共用していた場合、その人を消す操作はできません。パスワードを変えて、残る人にだけ伝え直します。

見落としやすいのが、2段階認証の確認コードが辞める人のスマホに届く設定になっているケースです。付け替えをしないまま辞められると、店の誰もログインできなくなります。最終出勤日より前に、コードの届け先を店の端末や店主の端末へ移しておきます。

貸与物と、手元に残る情報の回収

アカウントを止めても、物や端末に情報が残っていれば、整理は終わっていません。貸していた物と、本人の手元に残りやすい情報を、最終出勤日にまとめて確認します。

鍵・端末・制服など、物の返却

店の鍵、入館カード、業務用のスマホやタブレット、制服、名札、ポイントカードの台紙などを一覧にし、返却を受けたら日付を記入します。

鍵については、合鍵を作っていないかを本人に確かめるとともに、防犯の観点から交換するかどうかも考えます。業務用の端末は、返却後に初期化してから次の人に渡します。

私物のスマホに残った顧客情報とやり取り

私物のスマホで予約の確認をしたり、お客さまと直接連絡を取ったりしていた場合、連絡先や写真が端末に残っていることがあります。

業務で撮った写真や、お客さまの連絡先を消してもらうよう、最終出勤日に一緒に確認します。本人の私物を店が直接操作することは避け、何を消してほしいかを具体的に伝えて、本人に操作してもらいます。

業務のチャットやグループからの退出

スタッフ用のグループチャットには、シフトの連絡だけでなく、お客さまの情報や売上の話が流れていることがあります。退出の手続きを忘れやすい場所です。

管理者の側から外せるなら外し、外せない仕組みなら本人に退出してもらいます。退職の挨拶をしたい人もいるので、タイミングは本人と相談して決めます。

引き継ぎと、辞めたあとの窓口

辞めた人が頭の中に持っていた仕事の進め方は、引き継がなければ店から消えてしまいます。お客さまとの関係も同じです。

担当していたお客さまの一覧と、次の担当

指名や担当制のある店では、その人を目当てに来ていたお客さまがいます。顧客管理ツールや予約の履歴から、担当していたお客さまを一覧にし、次に誰が担当するかを決めます。

お客さまへ伝えるかどうか、どう伝えるかは店の方針次第です。ただし、辞める人が個人的にお客さまへ連絡することの扱いは、トラブルになりやすいため、事前に話し合っておきます。

手順書に、辞める人の知識を残す

「この作業はあの人しか分からない」というものを、最終出勤日までに書き出してもらいます。長い文章は要りません。画面の写真と、手順の順番だけで十分です。

書き出したものは、次に入る人がツールを覚えるときの教材にもなります。手順書の作り方はスタッフに使ってもらうにはで紹介しています。

辞めたあとの連絡窓口と、記録の保管

書類の送付先や、あとから出てくる確認事項に備えて、退職後の連絡先と連絡の手段を本人と決めておきます。店側の窓口も一人に決めて、本人に伝えます。

勤怠や給与の記録は、辞めた後も一定期間の保存が求められるものがあります。アカウントを消す前に書き出しておき、保管場所を決めます。保存の要件は社会保険労務士や所管の窓口に確認してください。勤怠・給与まわりのほかの記事は勤怠・給与・労務の一覧からご覧いただけます。

ここだけは見る

最終出勤日と在籍の最終日を分けて確認する。最後の勤怠は在籍中に確定させる。アカウントは最終出勤日の業務後に止め、2段階認証の届け先を先に移す。段取りは1枚の表にして、次の退職でも使い回す。

よくある質問(FAQ)

  • 退職の申し出を受けたら、最初に何を決めればよいですか?

    最終出勤日と、雇用契約が終わる在籍の最終日の二つです。勤怠の締め、最後の給与、アカウントを止める日は、すべてこの日付から逆算して決まります。

  • アカウントは在籍の最終日まで残しておくべきですか?

    基本は最終出勤日の業務が終わった時点で止めます。給与明細の確認など、辞めた後も本人が見る必要があるものだけ、期限を決めて残します。

  • 残っている有給休暇の扱いはどう決めればよいですか?

    法律と就業規則が関わるため、店の判断だけで決めず、社会保険労務士や労働基準監督署の相談窓口に確認してください。

  • 退職した人に渡す書類は何がありますか?

    その年の源泉徴収票のほか、加入していた保険によって必要な書類があります。雇い方で変わるため、年金事務所やハローワーク、依頼している専門家に確認してください。

  • 共用のアカウントを使っていた場合はどうすればよいですか?

    パスワードを変えて、残る人にだけ伝え直します。2段階認証の確認コードが辞める人の端末に届く設定になっていないかも、あわせて確認します。

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