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ツールを見比べているうちに、どれが安いのか分からなくなることがあります。一覧に出ている月額は小さな数字なのに、申し込みの画面まで進むと初期費用やオプションが出てくるからです。
比べ方そのものは難しくありません。払う可能性のあるお金をすべて足して、年間の総額に直すだけです。この記事では、その足し方と、自分で作れる比較シートの形をまとめます。
なお、本記事に具体的な金額は書きません。料金は改定されますし、規模や契約の条件で変わるためです。数字は候補にしているサービスの公式サイトでご確認ください。
月額だけを並べても、実際に払う額は分からない
比較の一覧表は、たいてい月額の順に並んでいます。ところが、その数字に何が含まれるかはサービスごとに違います。同じ列に並んでいても、中身は同じではありません。
同じ「月額◯円」でも、含まれる範囲が違う
たとえば予約システムなら、A社は基本の料金にリマインド送信とサポートまで含むとします。一方のB社は基本の料金が低い代わりに、リマインドは送った通数の分だけ別に請求される形です。
この二つを月額の数字だけで並べると、B社が安く見えます。ですが実際には、予約が入るほどB社の請求が増えます。比べているつもりで、違うものを見ている状態です。
そこで先に決めたいのが、自分の使い方です。ひと月の件数、スタッフの人数、画面を開く人の数。この前提をそろえてから、はじめて金額の比較が成り立ちます。
比較表を自分で作るときの列の決め方
列は複雑にしないほうが続きます。おすすめは、費用を性質で三つに分ける形です。「最初だけかかるもの」「毎月かかるもの」「使った分だけかかるもの」の三つで、たいていの費目は収まります。
この三つに分けると、抜けている情報にも気づきます。空欄が残ったら、そこが公式サイトで確認すべき点だということです。
ここだけは見る
月額の数字ではなく、「同じ使い方をしたときの年間の総額」で並べます。前提をそろえないまま出した金額は、比較の材料になりません。
総額に必ず入れる項目
年間の総額を出すときに、入れ忘れが起きやすい費目があります。どれも契約前に確認できますが、料金ページの下のほうや、よくある質問の中に書かれていることが多いものです。
初期費用・設定代行費・端末代
契約したときに一度だけかかるお金です。初期費用のほか、設定を代わりにやってもらう費用、レジや決済で使う端末の代金などが、ここに入ります。
一度だけの費用は、月額に慣れた目だと見落としがちです。初期費用が高くても月額が低ければ、長く使うほど有利になることもあります。
端末が無料で提供される場合は、条件もあわせて見てください。一定の期間を使い続けることが条件だったり、解約のときに返却が必要だったりします。
決済手数料・送客手数料などの変動費
売上や予約が増えるほど増える費用です。カード決済の手数料、集客サイト経由の予約にかかる送客手数料、ネット販売の販売手数料などです。月額とは別に、確実に効いてきます。
変動費は、料金表の数字だけでは大きさが分かりません。今の売上や予約件数を当てはめて、ひと月あたりいくらになるかを計算してみてください。順位が入れ替わることもあります。
予約の受け方によって変動費の重さは変わります。項目ごとの見方は予約システムの選び方にまとめていますので、あわせてご覧ください。
オプション(配信通数・ユーザー追加・サポート)
基本のプランに含まれず、必要になったときに足すものです。いずれも「使い始めてから必要だと分かる」種類のものです。
- メッセージやメールの配信通数を追加する費用
- スタッフのアカウントを追加する費用
- 電話やチャットのサポートを受けるための費用
- 他のツールと連携するための費用
- データの保存容量を増やす費用
契約の前に、自分の使い方で必要になるものを書き出しておくと安心です。基本のプランの金額だけで決めると、運用が始まってから請求が増えていきます。
人数・件数で増える料金に注意する
小さな事業でとくに影響が大きいのが、人数や件数で料金が変わる仕組みです。今の規模では安く見えても、少し増えただけで負担が変わります。
スタッフが1人増えると、いくら増えるか
アカウントの数で料金が決まるサービスは多くあります。ひとりで使ううちは差が出ませんが、スタッフを雇うと月額が変わります。増やす予定があるなら、その前提で比べてください。
確認したいのは、増える単位です。ひとり単位で増えるのか、決められた人数ごとにプランが上がるのか。後者だと、あとひとり増やしただけで段が上がることがあります。
スタッフの人数で料金が動きやすい業種の例は、サロン・美容室のツール構成で具体的に触れています。
顧客件数・保存容量の上限を超えたときの扱い
登録できる顧客の件数や、保存できるデータの量に上限があることがあります。上限に達したときの扱いは、サービスによって分かれます。
自動で上のプランに切り替わる場合もあれば、新しい登録ができなくなる場合もあります。上限と、そのときの動きは契約前に確認しておきたい点です。
顧客の情報は増える一方なので、上限は思ったより早く近づきます。今の件数ではなく、一年後の想定で計算してみてください。
年払いと月払いの判断
年払いにすると料金が割り引かれるサービスは多くあります。決める前に、確認しておきたいことがあります。
年払いの割引と、途中解約時の返金の有無
年払いは、一年分を先に支払う契約です。途中でやめたときに、残りの期間の分が返ってくるかどうかは、規約に書かれています。返金されない扱いも珍しくありません。
つまり年払いの割引は、一年使い続けることと引き換えに受け取るものです。続ける確信が持てないうちは、割引を捨ててでも月払いで始めるほうが安全です。
解約の申し出はいつまでか、自動で更新されるかといった出口の条件は、契約前にしか確認できません。詳しくは契約・解約・移行の記事をご覧ください。
試用期間中に判断できることだけを見る
お試しの期間は、機能の有無を確かめるには十分です。ただし、繁忙期の混雑や、スタッフが慣れるまでの手間までは分かりません。
お試しの間は、合否の基準を先に決めておくことをおすすめします。「毎日使う三つの操作が、説明を見ずにできるか」という形にすると、事実で判断できます。
契約前に確認
年払いに切り替える前に、途中解約の扱いと、解約したあとにデータを書き出せるかを確認してください。あとから変更できない条件です。
「無料」の読み方
無料で始められるサービスは増えました。ただ、無料と書かれた範囲は、思っているより狭いことがあります。
無料の条件(期間・件数・機能)を書き出す
無料には、たいてい三種類の条件が付いています。使える期間、件数や人数の上限、使える機能の範囲です。まずどの型かを見分けてください。
見分けたら、その条件を比較シートの余白に書き出します。「ここを超えたら有料になる」と分かっていれば、あとで慌てずに済みます。
無料のまま業務の中心に置かない
無料のプランを業務の中心に置くと、上限に達したときに業務が止まります。顧客の登録ができない、明細の取り込みが止まるといった形で、忙しいときほど困ります。
試す範囲と本番で使う範囲は、分けて考えるのが安全です。本番で使うと決めたものは、有料のプランを前提に総額を出しておきます。
お金の記録のように、途中で止まると影響が大きい業務ほど、この考え方が効きます。判断の材料は会計ソフトの選び方にもまとめています。
自分の事業の上限額を決める
ここまでの手順で、候補ごとの年間の総額が出ます。ただし、安い順に選ぶだけでは決まりません。自分の事業が払える上限を、先に決めておく必要があります。
売上ではなく粗利から、月の上限を出す
ツールの費用を売上と比べると、払えるように見えてしまいます。実際に手元に残るのは、仕入れや材料の費用を引いたあとの金額です。上限は、その残る金額から考えます。
上限を先に決めると、候補が一気に減ります。金額を見てから迷うのではなく、迷う前に線を引いておく形です。この考え方は仕事ツールの選び方でも取り上げています。
なお、支払った費用を会計上どう扱うか(その年の費用か、資産として扱うか)は、金額や内容で判断が分かれます。本サイトでは扱いませんので、税理士や税務署にご確認ください。
かけた費用を、削減できた時間で確認する
ツールを入れて確実に変わるのは、売上ではなく作業の時間です。電話を取る回数、転記する手間、レジを締める時間。まずはここが減っているかを確認してください。
導入する前に、その作業にかかる時間を測っておくと比べられます。導入したあとに同じ作業を測れば、売上の増減より、はっきりと結果が出ます。
減った時間がわずかなら、そのツールは自分の事業に合っていない可能性があります。安さより、この確認のほうが役に立ちます。
比較シートの作り方(そのまま使える項目一覧)
最後に、ここまでの内容を一枚にまとめます。紙でも表計算ソフトでも構いません。候補を横に、費目を縦に並べる形にします。
12か月分の総額で並べる
次の表がそのまま使える形です。金額は空欄にしていますので、公式サイトで確認した数字を入れてください。確認した日付も一緒に書いておくと、あとで見返したときに役に立ちます。
| 費目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 初期費用・設定代行費 | |||
| 端末・機器の費用 | |||
| 基本のプランの月額 | |||
| アカウント追加の月額 | |||
| オプションの月額 | |||
| 変動費(手数料・通数) | |||
| 一年目の総額 | |||
| 二年目以降の年額 | |||
| 無料の条件・上限 | |||
| 解約の条件・データの書き出し |
一年目と二年目以降を分けているのは、初期費用が一年目にだけ乗るためです。長く使う道具ほど、二年目以降の年額が効いてきます。
決め手にならない項目は、思い切って消す
比較シートは、作り込むほど決められなくなります。行が増えると、どれも一長一短に見えるためです。書き出したあとに、決め手にならない行を消してください。
消す基準は簡単です。「この行の差で、選ぶ相手が変わるか」と自分に聞いてみてください。変わらないなら消して構いません。残るのは、たいてい総額と、毎日使う操作と、出口の条件の三つです。
どの分野から手を付けるか自体が決まっていない場合は、かんたん診断で方向を絞ってから比較に入ると早く進みます。
本サイトでは、料金は月額ではなく総額で示すこと、向かない事業についても書くことを編集の方針にしています。広告の扱いも含めて編集ポリシーに記載していますので、あわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
-
月額と初期費用は、どちらを重く見ればよいですか。
使う年数によって変わります。短く試す段階では初期費用の重みが大きく、長く使う前提なら月額と変動費が効いてきます。一年目の総額と二年目以降の年額を分けて出すと判断しやすくなります。
-
相場はいくらくらいでしょうか。
業種と規模、必要な機能で幅が大きいため、本サイトでは相場の金額を示していません。候補を三つほど選び、同じ使い方を前提に総額を出して比べるほうが確かです。
-
安いほうを選んで問題ないですか。
総額が近いなら、毎日使う人にとっての操作のしやすさと、解約時にデータを書き出せるかを優先してください。差が小さいときは、続けられるかどうかが結果に響きます。
-
無料のプランのまま使い続けてもよいですか。
試す段階では有効ですが、上限に達すると業務が止まることがあります。顧客の情報やお金の記録のように止まると困る業務は、有料のプランを前提に総額を出しておくと安心です。
-
補助が受けられるなら、費用は気にしなくてよいですか。
補助が出ても、その後の月額は自分で払い続けます。補助の有無にかかわらず、二年目以降の年額が上限に収まるかを先に確かめてください。

