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請求書を出したのに、入金の連絡がないまま日が過ぎていく。小さな事業ほど、この待ち時間が資金繰りに直接ひびきます。
ただ、待ち時間のすべてが相手の都合で決まるわけではありません。請求を出す前の決めごとと、出したあとの記録の残し方で、短くできる区間があります。
この記事は、請求を出してから入金を確認するまでの流れを短くする運用だけを扱います。ソフトそのものの選び方は会計ソフトの選び方、1人で回す全体の組み方はフリーランスのツール構成にまとめています。
入金が遅いのは、相手のせいだけとは限らない
入金が遅れると、相手の支払いが遅いのだと考えがちです。ただ、実際に止まっている場所は、もっと手前にあることがあります。
遅れの多くは、請求を出す前に決まっている
請求書が相手の社内で処理される流れは、だいたい決まっています。受け取った担当者が内容を確認し、上長が承認し、経理が支払いの回に載せます。
どこかで止まると、支払いは次の回へ送られます。止まる理由は、記載や送り先の行き違いであることが多いです。
- 宛名や件名が違い、社内のどこへ回すか分からない
- 発注の内容と明細の書き方が合わず、確認で止まる
- 担当者あてに送ったつもりが、その人は決裁の経路にいない
- 締めに間に合わず、支払いが次の回へ回っている
短くできるのは、自分の側にある区間
請求から入金までを、区間に分けて考えます。請求書を作るまで、送るまで、相手の社内を回る間、そして入金を自分が確認するまでです。
相手の社内を回る間は、こちらでは動かせません。それ以外の区間は、手順を決めておけば短くできます。まず手をつけるのは、自分の手元にある区間です。
どこで止まったかを、あとから言えるようにする
遅れたときに困るのは、どこで止まったか分からない状態です。送った日も送り先も、記憶だけを頼りに話すことになります。
記録が残っていれば、確認の連絡は「まだですか」ではなく「いつ、どこへ送ったものです」という事実の共有になります。この差が、相手の動きやすさを変えます。
ここだけは見る
入金が遅れたとき、最初に見るのは相手ではなく自分の記録です。出した日・送り先・送った手段の3つが残っていれば、確認の連絡はその日のうちに出せます。
請求書を出す前に決めておくこと
請求のたびに考え直している項目は、取引の始めに決めてしまいます。決めておくほど、毎回の作業が短くなります。
締めと支払期日を、取引が始まる前にそろえる
相手の会社には、支払いの回が決まっていることがほとんどです。締め日までに届いた請求を、決まった支払日にまとめて処理します。
これを知らずに請求書を出すと、締めに間に合わず、支払いが次の回に回ります。仕事が終わった時期は同じでも、入金は一巡ぶん遅れます。
確認するのは3点です。相手の締めの区切り、支払いの回、そして自分の請求書に書く支払期日がそれと矛盾しないか。入金サイクルという言い方で説明されることもあります。
送り先は「会社」ではなく「担当者」まで決める
送り先を会社名だけで決めていると、届いたあとに誰が見るかが決まりません。始めに押さえておくのは次の3つです。
- 請求書を受け取る担当者(仕事の担当者と別のことがあります)
- その担当者が不在のときに見る人
- 受け取りの返事をもらう先(メールなのか、システムの通知なのか)
仕事の担当者と、経理の受け取り窓口が分かれている会社は珍しくありません。始めに聞いておけば、あとから社内を探してもらう手間がなくなります。
送る手段を、相手の受け取り方に合わせる
送る手段は、こちらの都合ではなく相手の受け取り方で決めます。メールに添付する、指定の請求書システムに登録する、郵送する、のいずれかが多い形です。
相手が請求書の受け取りシステムを使っている場合、メールで送っても処理が始まりません。登録の方法と、必要なアカウントを先に確認します。
郵送しか受け付けない相手なら、届くまでの時間を見て締めより手前で出します。手段によって、間に合う時期が変わります。
差し戻される請求書の共通点
差し戻しは、支払いを一巡ぶん遅らせます。原因は限られているので、先につぶしておけます。
宛名と件名で、社内を回れるかが決まる
宛名は、相手の正式な社名と部署、担当者名までそろえます。略称や旧社名のままだと、経理で確認が入ります。
件名も同じです。どの案件の請求かが件名で分かれば、確認をはさまずに次へ回せます。
- 社名は登記どおりに書く(法人格の位置、前と後ろ)
- 部署名と担当者名を入れる
- 件名に案件名を入れる
- 相手が発注書を出している場合は、その番号をそろえる
明細の粒度は、発注の単位に合わせる
明細をまとめすぎても、細かく分けすぎても確認で止まります。合わせる先は、相手が発注した単位です。
発注書や見積書で分けた項目と同じ並びにすると、相手は突き合わせるだけで済みます。こちらの作業の都合で分け方を変えると、そのたびに確認が入ります。
交通費や立て替えた費用があるときは、本体と分けて書きます。どの費用が何にかかったかが、行を見ただけで分かる状態にします。
振込先と必要書類は、書き方が決まっている
振込先は、金融機関名・支店名・口座の種類・口座番号・名義を、通帳の表記どおりに書きます。名義のカナ表記が違うだけで、振込が戻ることがあります。
あわせて、相手が求める書類がそろっているかを見ます。適格請求書の形式を求められている取引では、記載する項目が決まっています。自分のソフトでその形が出せるかは、先に確認しておきます。
納品書、検収書、作業報告書など、請求書に添えるものが決まっている取引もあります。添付が1つ欠けるだけで、処理は止まります。
送ったあとに残す記録
送った記録は、催促のためではなく、確認をその場で終わらせるために残します。
いつ・誰に・どの方法で送ったかを1行で残す
残すのは3つだけです。送った日、送った先(担当者名と宛先)、送った手段。これが並んでいれば、遅れたときの確認はすぐ終わります。
置き場所は、請求書の控えと同じところにします。別の表に書くと、片方だけ更新されて食い違います。
請求の一覧に列を足すだけでも成立します。取引先、請求日、送付日、送付手段、支払期日、入金確認日。この並びなら、未回収がひと目で分かります。
受け取りの確認は、催促と切り分ける
受け取りの確認は、催促ではありません。送った直後に届いているかを一度確認しておくと、あとの連絡が減ります。
メールで送る場合は、本文に受け取りの返事をお願いする一文を入れておきます。システムに登録する場合は、登録が終わった画面や通知を控えておきます。
ここで返事が来ない相手は、そのあとの連絡も届きにくい相手です。早い段階で分かれば、次回から手段を変えられます。
やり取りは、あとから探せる形にする
請求に関するやり取りが、メール・チャット・電話に散らばると、あとから経緯を追えません。
電話で決めたことは、短くてよいので文字に残します。「お電話で伺った内容の確認です」と書いて送るだけで、双方の記録になります。
1か所にまとめておけば、担当者が代わったときにも経緯をそのまま渡せます。
入金の消し込みを軽くする
消し込みは、出した請求と入った金額を突き合わせ、済んだ印を付ける作業です。仕組みを少し変えるだけで、負担が下がります。
口座を分けると、見る場所が減る
売上の入金と、日々の支払いが同じ口座に混ざっていると、明細を目で追う作業が増えます。売上が入る口座を分けると、見る行そのものが減ります。
分けておけば、口座振替で引き落とされる固定費とも混ざりません。入金だけが並ぶ明細は、突き合わせが早く終わります。
会計ソフトに口座を連携している場合も同じです。取り込まれる明細が売上中心になるので、確認する対象が絞れます。
入金の名義が違うときは、先に控えておく
入金の名義が、取引先の社名と違うことがあります。屋号、代表者の個人名、支払いを代行している会社の名前で入ってくることがあります。
これを知らないと、入金があったのに気づかず、催促してしまいます。相手にも失礼になります。
- 取引先の一覧に「入金名義」の欄を作る
- 振込手数料が引かれて入る相手は、その扱いも控えておく
- 複数の請求がまとめて入る相手は、まとめ方を控えておく
控えるのは初回の入金があった時点で十分です。次からは名義で照合できるようになります。
締めのあとに慌てない順番
消し込みを、締めのあとにまとめてやると重くなります。進める順番を決めておくと、短く終わります。
- 入金のあった明細を、請求の一覧に突き合わせる
- 金額が合わないものだけを、別に取り分ける
- 期日を過ぎて入金がないものを、連絡の対象にする
- 取り分けたものを、最後にまとめて確認する
全件を上から順に見るより、入金の明細を起点にしたほうが早く終わります。未回収として残った請求は、帳簿の上では売掛金にあたります。残っている金額が実際の未回収と合っているかは、締めのあとに一度見ておきます。
契約前に確認
売上をいつ計上するか、消費税をどう扱うかは、事業の形や取引の内容で変わります。この記事では扱いません。判断が必要な場面は、税理士か所轄の税務署へご確認ください。
遅れたときの連絡
期日を過ぎても入金がないときは、連絡の前に手順があります。順番を守るほど、話が早く済みます。
催促の前に確認すること
まず自分の記録を見ます。ここを飛ばして連絡すると、こちらの手違いだった場合に気まずくなります。
- 送った日が、相手の締めに間に合っていたか
- 送り先の担当者が、今も同じ人か
- 相手が指定するシステムへの登録が済んでいたか
- 添付する書類が足りず、差し戻されていないか
記録が残っていれば、この確認はすぐ終わります。前の項目で挙げた入金名義の確認も、ここで一緒に済ませます。
書き方の順番
連絡は、事実、依頼、期日の順で書きます。推測や感情を挟まないほど、相手は動きやすくなります。
- いつ、どの方法で、誰あてに送ったかを書く(事実)
- 手元で入金が確認できていないことを書く(事実)
- 処理の状況を確認してほしいと書く(依頼)
- いつごろ返事がほしいかを書く(期日)
件名には案件名を入れます。相手が社内で確認するとき、そのまま転送できる形にしておきます。
言い回しは「支払われていません」ではなく「入金が確認できておりません」とします。相手の手元では処理が済んでいる可能性もあるためです。
関係を壊さない伝え方
催促は、相手を責める場面ではありません。行き違いを見つける作業だと考えると、書き方が変わります。
こちらに不備があった場合は、直したものをすぐ送り直します。差し戻された理由を聞いておくと、次の請求から同じことが起きません。
連絡しても状況が分からない、返事が来ないという状態が続く場合は、やり取りの記録を残したうえで、相談先を探す段階になります。
契約前に確認
支払いが長く止まったときに、どのような手段が取れるかは、契約の内容や取引の状況によって変わります。この記事では扱いません。弁護士や、フリーランスの取引に関する公的な相談窓口へご相談ください。請求書の控えと、送付・連絡の記録が残っていると相談が進めやすくなります。
請求から入金までを短くする作業は、新しい道具を買うことではありません。決めごとを先に決め、送った記録を残し、確認の順番をそろえるだけです。
手作業が重くなってきたと感じたら、そのときにソフトを見直します。会計まわりの記事は会計・請求のカテゴリーにまとめています。
よくある質問(FAQ)
-
請求書はいつ出すのがよいですか。
相手の締めの区切りに間に合う時期です。仕事が終わってから作り始めるのではなく、終わる見込みが立った時点で下書きを用意しておくと、締めに遅れにくくなります。
-
支払期日は、こちらで決めてよいのですか。
契約や発注の条件で決まっている場合は、それに合わせます。決まっていない場合は、相手の支払いの回を確認したうえで、双方が了解できる期日を書きます。一方的に短い期日を書いても、相手の処理は早くなりません。
-
請求書を送ったのに、届いていないと言われました。
送った日・宛先・手段の記録を添えて、もう一度送ります。メールが迷惑メールに振り分けられていることもあります。次回から受け取りの返事をもらう形にしておくと、同じことが起きにくくなります。
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入金の消し込みは、会計ソフトでないとできませんか。
表計算でもできます。請求の一覧に、送付日・支払期日・入金確認日の列があれば成立します。取引先が増えて突き合わせが重くなったら、口座を連携できるソフトを検討する時期です。
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何度連絡しても入金がない場合はどうすればよいですか。
この記事では、法的な手段の可否や進め方は扱っていません。契約の内容や状況によって取れる手段が変わるため、弁護士や、フリーランスの取引に関する公的な相談窓口へご相談ください。
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前払いや分割での請求をお願いすることはできますか。
取引の内容によっては可能です。材料の仕入れが先に発生する仕事などでは、着手時と納品時に分けて請求する形を条件として提示することがあります。契約を交わす段階で相談してください。

