飲食店のシフトと人件費の管理|必要な人数の決め方と、締めまでの流れ

飲食店のシフトと人件費の管理|必要な人数の決め方と、締めまでの流れ

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シフトづくりが毎月つらい、という声は飲食店で特によく聞きます。作る手間そのものよりも、出したあとに崩れることが負担になっているお店が多い印象です。前日の欠員、当日の延長、締めたあとに出てくる集計の食い違い。そのたびに店長が動いて、そのぶんの時間はどこにも記録されません。

この記事では、数人から十数人でシフトを回している小さな飲食店を想定して、シフトを組む前に決めておくことと、人件費を締める前に見るための手順を整理します。扱うのは段取りと記録の話です。労働時間や休憩の決まり、割増の計算方法といった法令の判断には踏み込みません。個別の判断は、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士へ確認してください。

目次

シフトが崩れる店に共通していること

シフトが毎月もめるお店には、だいたい同じ形の詰まりがあります。人が足りないことそのものより、決め方と伝え方が固まっていないことのほうが原因として大きいです。まずは、自分の店がどこで詰まっているかを見分けるところから始めます。

提出の締め切りが、口頭で伸びていく

希望の提出日を決めていても、出していない人に直接声をかけて集めているうちは、締め切りは無いのと同じです。声をかけられる人ほど遅れても困らないと学習しますし、期日どおりに出した人から見ると不公平に映ります。最後に残った数人の都合に合わせて全体を組み直すことになり、作る時間が読めなくなります。

「誰がいつ変更したか」が残っていない

確定したシフトを紙に貼り、変更は口頭と手書きで直している店では、月末に必ず食い違いが出ます。本人は代わってもらったつもり、店は入っている前提、という行き違いです。もめごとになるのは、たいてい「言った・聞いていない」の部分で、働いた時間そのものではありません。

変更のやり取りが文字で残っていれば、確認は数十秒で終わります。誰が申し出て、誰が代わって、店の誰が了承したのか。この三つが残る形にしておくだけで、締めのときの照合はずいぶん楽になります。

人件費の話が、締めたあとにしか出てこない

いちばん多いのがこの形です。給与計算をして初めて、今月は人を入れすぎていたと気づく。気づいたときには終わった月の話なので、できるのは翌月に削ることだけになります。そして削りすぎて回らなくなり、また戻す。この行き来を繰り返している店は少なくありません。

ここだけは見る

シフトの問題は「人が足りない」の形で出てきますが、原因は締め切り・変更の記録・費用を見る時点、のいずれかにあることが多いです。人を増やす前に、この三つを確認してください。

シフトを組む前に決めておく三つのこと

シフトづくりが重いお店は、集まった希望を見ながら人を当てはめています。この順番だと、出してきた希望の量でその月の人件費が決まってしまいます。先に決めるのは人ではなく、枠です。

時間帯ごとに「必要な人数」を先に置く

曜日と時間帯を区切って、その枠に何人いれば店が回るかを書き出します。ランチの立ち上がり、ピーク、アイドルタイム、ディナーの入り、締めの作業。区切り方は店の営業時間に合わせて構いませんが、一度決めたら毎月同じ区切りを使ってください。区切りが月ごとに変わると、前の月と比べられなくなります。

必要人数の根拠は、感覚ではなく手元の数字から取れます。レジに残っている時間帯別の客数や会計件数を見れば、どこに山があるかは分かります。売上の集計をどこまで細かく出せるかは使っているレジによるので、時間帯別が出せるかどうかを一度確かめてみてください。レジの選び方そのものは飲食店のツール構成|レジ・予約・キャッシュレスの組み方で扱っています。

固定の枠と、動かせる枠を分ける

枠を置いたら、そこを「必ず埋める枠」と「客数を見て決める枠」に分けます。前者は、その人数を割ったら営業が成り立たない最低限です。後者は、予約の入り方や天候、近隣の催しなどで増減させる枠です。

この二つを分けずに組むと、削るときに最低限の枠から削ってしまい、現場が持ちません。逆に、動かせる枠を最初から固定で埋めていると、暇な日にそのまま人が立っている状態になります。分けておけば、忙しさが読めない日でも判断の起点ができます。

責任者が必ず一人いる時間の作り方

人数だけで枠を埋めると、判断できる人が誰もいない時間が生まれます。クレーム、レジの不具合、急な欠員。こうした場面で連絡待ちが発生すると、その時間の損失は人件費の差より大きくなります。

枠を作る段階で、「この時間帯はこの役割の人が一人」という条件を書き込んでおきます。そのうえで、その役割をこなせる人を店に何人置くかという話になります。育てる話は採用の段取りとつながるので、スタッフを採用するときに整えるもの|求人から勤怠・給与までの流れもあわせて確認してください。

希望の集め方と、確定の伝え方

枠が決まれば、あとは人を当てはめる作業です。ここで手間が増えるのは、集める場所と伝える場所が散らばっているときです。

集める場所を一つにする

紙、個人あてのメッセージ、店のグループ、口頭。この四つが混ざっている店では、集計する人が全部を見て回ることになります。どれか一つに寄せてください。方法は問いません。全員が使えて、店の誰が見ても同じものが見えることが条件です。

確定したシフトは「見に行ける場所」に置く

確定を送る形だけにすると、あとから見返すときに各自が過去のやり取りをさかのぼることになります。送ることと、置いておくことは別です。いつでも最新のものが見に行ける場所を一つ決めて、そこを正とします。

変更のやり取りを、記録が残る形にする

交代の相談は、個人あてのやり取りで進みがちです。当人どうしで話がつくのは早くて良いのですが、店がそれを知らないまま当日を迎えると困ります。最後に必ず店の誰かが了承し、その了承が文字で残る手順にしてください。

契約前に確認

シフトの変更を個人の連絡先だけでやり取りしていると、その人が辞めたときに経緯がすべて消えます。店として残す場所を決め、私物の端末に情報が閉じない形にしてください。誰がどこまで見られるかの整理は顧客データの守り方|バックアップ・権限・パスワードの基本の考え方が使えます。

人件費を、締める前に見る

人件費は、給与計算で初めて分かるものではありません。シフトを出した時点でおおよそ決まっていて、週の途中で修正できます。見るタイミングを前に倒すのがこの章の趣旨です。

売上と人の時間を、同じ単位で並べる

やることは単純で、日ごと・時間帯ごとに、売上(または客数)と、その枠に入っている人の延べ時間を並べるだけです。金額まで出さなくても、時間で並べれば山と谷は見えます。人の時間が厚いのに客数が少ない枠、逆に薄いのに客数が多い枠。どちらも、翌週に手を入れる候補になります。

人件費を売上に対する割合で見る考え方もあります。ただし、業態や立地で事情が大きく違うため、よそで聞いた目安をそのまま当てはめても判断を誤ります。まずは自分の店の過去数か月を並べて、その中での上下を見るほうが確かです。月ごとの数字を続けて見る形については資金繰り表の作り方|クラウド会計で数字を毎月見る習慣をつくるで扱っています。

予定の時間と、実際の打刻の差を見る

シフトに書いた時間と、実際に働いた時間は一致しません。片づけが長引く、入りが早い、休憩が取れていない。この差が毎週同じ曜日・同じ枠で出ているなら、それは個人の問題ではなく枠の置き方の問題です。

差を見るには、予定と実績の両方が同じ場所に残っている必要があります。紙のタイムカードと手書きのシフト表では、並べるだけでひと仕事です。打刻をどう取るかという道具の選び方は勤怠・給与ツールの選び方|アルバイトが増えたら考えることにまとめています。

人件費を下げる前に、削れる時間を探す

人を減らす前に、同じ人数でも短くできる時間がないかを見ます。開店前の準備、締めの集計、発注の作業。こうした作業は、手順が人によって違うと時間も変わります。誰がやっても同じ手順になるように書き出すと、そこだけで差が縮むことがあります。

組み合わせて使う
先に決める

時間帯別の必要人数

毎週見る

打刻と予定の差

枠を決めてから人を当てはめ、ずれを週単位で直すと、締めたあとに驚くことが減ります。

締めから給与までを詰まらせない

締め日から支払日までの日数は決まっています。ここが毎月きついお店は、作業量ではなく段取りに原因があることが多いです。

打刻の直しを、締め日までに終わらせる

押し忘れや直しの申し出が締め日のあとに来ると、集計をやり直すことになります。申し出の期限を締め日より前に置き、その日を過ぎたぶんは翌月に回すという扱いを先に決めておいてください。扱いが決まっていれば、そのつど悩まずに済みます。

手で入れ直す場所を数える

勤怠の集計から給与の計算までの間に、人が数字を入れ直している箇所がいくつあるかを数えてみてください。打刻の集計を紙に転記し、それを表計算に入れ、さらに別の形式で渡している、という店もあります。入れ直しは、時間がかかるうえに間違いの入り口です。

入れ直しを減らす方法は二つです。一つは、勤怠と給与を同じ仕組みでつなぐこと。もう一つは、CSVのような形で書き出して渡すことです。どちらにするかは、店の規模と、誰が給与計算をしているかで変わります。

外に頼むなら、渡す形を先に聞く

給与計算を外に頼んでいる、または頼もうとしているなら、勤怠の仕組みを決める前に「どの形で渡せばよいか」を聞いてください。あとから合わせようとすると、結局そこで人が入れ直すことになります。外注するかどうかの判断材料は給与計算を外注するか|自社処理から切り替える判断基準に整理しています。

続けるための見直し方

シフトと人件費の管理は、一度整えて終わりにはなりません。人が入れ替わり、客の入り方も変わるからです。見直しを毎月の作業に組み込んでおきます。

見る数字を三つに絞る

毎月たくさんの数字を並べても続きません。時間帯別の延べ時間、予定と打刻の差、人が足りずに困った日の数。この三つくらいに絞って、同じ形で並べ続けるほうが変化に気づけます。数字の種類を増やすのは、この三つが習慣になってからで十分です。

費用の全体を見るときは、道具にかかっている分も同じ表に入れてください。月額の見え方と年間の総額は印象が違います。比べ方はツールの料金の比べ方|月額ではなく年間の総額で判断するにまとめています。

季節と曜日で、型を作っておく

飲食店は、季節と曜日で客の入り方が大きく動きます。去年の同じ時期の枠の埋め方が残っていれば、毎月ゼロから考えずに済みます。忙しかった週、暇だった週、その理由を一行でよいので書き添えて残してください。翌年の自分への引き継ぎになります。

人が入れ替わる前提で、引き継げる形にする

シフトを組む人が変わると、やり方ごと変わってしまう店があります。枠の決め方、締め切り、変更の扱い。この三つを短い文書にしておけば、引き継ぎは一枚で済みます。頭の中にしか無い状態は、店にとっての持ち出しにくい資産です。

新しい人に仕組みを使ってもらうところでつまずくお店も多いです。導入の伝え方はスタッフに使ってもらうには|新しいツールを定着させる手順を参考にしてください。飲食店向けのほかの記事は飲食店のカテゴリーからも探せます。

よくある質問(FAQ)

  • シフト作成の専用ツールは、何人くらいから必要になりますか

    人数よりも、変更のやり取りが追えなくなっているかどうかで判断するほうが確かです。全員の希望を一覧で見られない、確定をどこに置いたか分からない、という状態になっていれば、人数が少なくても検討する価値があります。

  • シフトの希望をどこまで通すべきか、迷います

    通す・通さないを都度判断すると不公平感が出ます。必ず埋める枠と動かせる枠を先に分けておき、必ず埋める枠は希望より優先する、という順番を最初に共有しておく方法があります。

  • 人件費が高いと感じたら、まず何から見ればよいですか

    人数を減らす前に、時間帯別の延べ時間と客数の山がずれていないか、予定と打刻の差が特定の枠で続いていないかを見てください。枠の置き方で解ける場合があります。

  • 休憩の取り方や割増の計算について、どこで確認すればよいですか

    法令にもとづく判断になるため、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士へ確認してください。この記事では、記録の残し方と段取りの話にとどめています。

  • 勤怠と給与は、同じ仕組みでそろえたほうがよいですか

    人が数字を入れ直す箇所が減るという利点はありますが、給与計算を外に頼んでいる場合は、先方が受け取れる形に合わせるほうが早いこともあります。決める前に、渡す形を確認してください。

  • 給与明細を紙で配るのをやめたいのですが、何を確認しますか

    本人が見られる状態にする方法と、過去分をさかのぼって確認できるかを先に決めます。紙をやめる前に、配る側と受け取る側の両方の手順を書き出しておくと、切り替えの当月に慌てずに済みます。

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