当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。
士業やコンサルの仕事は、成果物を渡す前に、まず預かるところから始まります。決算の数字、従業員の名簿、まだ社外に出していない計画、人には言いにくい事情。どれも、こちらの都合で扱い方を決めてよいものではありません。
この記事では、そうした情報を預かる前提で、資料の受け渡し・オンライン面談・請求・相談記録の4つをどう組むかを整理します。1人で仕事を回すための最小構成そのものはフリーランスのツール構成で扱っているので、ここでは「預かるものがある」ことで変わる部分に絞ります。
預かる情報が重いほど、道具は「渡し方」で選ぶ
店舗のツール選びは「予約を取れるか」「会計が締まるか」という、仕事が進むかどうかが基準になります。預かる仕事はここが少し違います。同じ機能があっても、渡し方と残り方が違えば別の道具として考えます。
機能の数より、情報が通る経路を見る
顧客から届いた資料は、思っているより多くの場所を通ります。メールの受信箱、チャットの履歴、パソコンのダウンロードフォルダ、クラウドストレージ、面談ツールの録画。経路が増えるほど、消し忘れる場所も増えます。
道具を比べる前に、いま扱っている資料について次を書き出してみてください。
- 誰から、どの手段で受け取っているか
- 受け取ったあと、どこに置いているか(正本はどれか)
- その場所を見られる人は誰か
- いつまで置いておくか、消すときは誰が消すか
この4つが空欄なく埋まる道具が、扱いやすい道具です。逆に「便利だが、どこに残るのか説明できない」ものは、機能が多くても候補から外して構いません。
預かる情報を、種類で分けておく
すべてを同じ厳重さで扱おうとすると、手順が重くなって続きません。先に種類を分けておくと、厚くする部分だけを厚くできます。
- 特定の個人が分かる情報(名簿、給与、家族の状況など)
- 事業の機密(数字、取引先、公表前の計画)
- 公開されている情報や、こちらが作った説明資料
1つ目に当たるものは、扱い方に一般的な決まりがある領域です。用語の意味は個人情報の説明をご覧ください。3つ目まで同じ手順で送っていると、手間が理由で運用が崩れます。
会則や法令の解釈は、所属会と監督官庁で確認する
守秘義務の範囲、記録として残すべきもの、電子データで保存する場合の扱いは、資格ごとに定めが異なります。当サイトではその解釈を書きません。
契約前に確認
この記事は、道具の選び方と運用の組み方について、一般的な注意の範囲で書いています。守秘義務の具体的な範囲、記録の保存に関する要件、クラウドの利用可否といった判断は、所属する会や監督官庁の案内、顧問の弁護士へご確認ください。資格をお持ちでないコンサルの場合は、顧客と結んだ契約書の秘密保持の条項が基準になります。契約書に書かれた保管や返却の取り決めを、先に読み直してください。
資料の受け渡しをメール添付から変える
いちばん事故が起きやすいのが受け渡しです。ここだけでも変えると、他が多少ゆるくても被害の大きさが変わります。
共有リンクに変えると、何が変わるか
共有リンクは、ファイルそのものを送るのではなく、置いてある場所への通り道を渡す方法です。添付との違いは、送ったあとにこちらから操作できるかどうかです。
- 添付は、送信した時点で相手の手元に複製が残り、こちらから取り消せない
- 共有リンクは、後から止められる・差し替えられる・開かれたか確認できるものがある
- 大きな資料でも、相手のメールの容量に左右されにくい
ただし、共有の設定が「リンクを知っている人は誰でも開ける」になっていると、転送された先まで広がります。宛先のアドレスを指定して開ける形を既定にしてください。
期限とパスワードを、既定の状態にする
共有のたびに手で設定すると、忙しい日ほど抜けます。選ぶときは「毎回設定できるか」ではなく「最初から入った状態にできるか」を見てください。
- 共有リンクに期限を付けた状態を、既定にできるか
- 宛先を指定した共有を既定にできるか(誰でも開ける設定を禁止できるか)
- ダウンロードを許すか、画面で見るだけにするかを選べるか
- 誰がいつ開いたかの記録が残るか
- 共有したあとで、こちらから失効させられるか
ここだけは見る
共有の既定値を管理者側で決められるかどうかが、いちばん効きます。人の注意力に頼る運用は、繁忙期に必ず崩れます。既定で守られる設定にしておけば、崩れても被害が止まります。
宛先の間違いに備える(送る前と、送ったあと)
誤送信の多くは、悪意でも不注意でもなく、入力補助が原因です。名字が同じ担当者、似た社名、以前の担当者。宛先欄が勝手に候補を出し、それをそのまま確定してしまいます。
送る前にできることは限られています。
- 顧客ごとに共有用のフォルダを先に作り、その中でやり取りする(毎回宛先を選ばない)
- フォルダを共有している相手の一覧を、定期的に見直す(担当交代・契約終了の反映漏れを見つける)
- 顧客の資料を扱うときは、宛先の入力補助を過信しない
送ったあとに何ができるかは、手段で決まります。添付は取り消せませんが、共有リンクなら気づいた時点で失効させられます。「間違えない仕組み」より「間違えても止められる仕組み」のほうが現実的です。
保管する側の基本(控えの置き場所、パスワードの持ち方、端末の管理)はセキュリティの記事にまとめています。受け渡しと保管は別の話なので、両方そろえてください。
オンライン面談で決めておくこと
オンライン面談は、移動が減るだけでなく、記録が残せる点で相性のよい仕事です。ただし記録が残るということは、預かるものがもう一つ増えるということでもあります。
録画するかどうかと、その保管先
録画があると、聞き漏らしを確認でき、担当が変わっても経緯を追えます。一方で、面談の中身がそのまま残る重い資料になります。使うなら、次を先に決めてから始めてください。
- 録画するかどうか(案件によって分けるなら、その基準)
- 録画することを相手にどう伝え、了解を得るか
- 保存先はどこか(面談ツールの中に置いたままにしない)
- 見られる人を限定できているか
- いつまで残し、誰が消すか
面談ツールによっては、録画や自動の文字起こしが最初から有効になっていることがあります。契約したら、まず既定の設定を確認してください。相手に伝えないまま記録が残る状態は、預かる仕事では避けたいところです。
同席者と、入室の管理
面談のURLを使い回していると、前回の相手が今回の時間に入ってこられます。相談ごとに発行する、という運用が基本です。
- 相談ごとにURLを発行できるか(固定のURLを使い回さない)
- 入室前に待たせて、こちらが許可してから入れる設定があるか
- 参加している人の一覧が、画面で分かるか
あわせて、画面に映らない同席者にも気をつけてください。相手側に別の方がいるかどうかは、こちらからは分かりません。込み入った話に入る前に、いま同席されている方がいるかを一度確認しておくと、後の行き違いが減ります。
通信が切れたときの代替を、先に伝えておく
切れたときに何も決まっていないと、相手はその場で思いついた手段で連絡してきます。個人の連絡先や、普段使っていないアプリに話が流れるのは、この瞬間です。
面談の冒頭に「切れたら電話にかけ直します」と一言添えるだけで足ります。加えて、資料を画面で見せるときは、画面全体ではなく資料のウインドウだけを共有し、通知が出ない状態にしてから始めてください。他の顧客の名前が通知で映るのは、それ自体が事故です。
クラウドストレージの共有リンク
オンライン面談ツール
資料は期限付きの共有リンクで先に渡し、面談では画面共有で説明だけを行うと、面談ツール側に資料が残りません。残る場所を1つに寄せられます。
顧問料と単発の請求を分けて管理する
この仕事の請求は、毎月決まって発生するものと、案件ごとに発生するものが混ざります。混ぜたまま管理すると、止め忘れと出し忘れが同時に起きます。
継続課金と都度請求は、止め方が違う
顧問契約のように毎月同じ金額が発生するものは、継続課金の形で自動化できます。放っておいても請求が立つのが利点で、そのまま欠点でもあります。契約が終わったのに請求が続く事故は、ここで起きます。
- 継続のものは、契約の開始と終了を台帳に持ち、請求の設定と突き合わせる
- 停止の手続きが、いつの請求から反映されるかを確認しておく
- 単発のものは、案件の記録と請求の記録をつないでおく(終わったのに出していない、を防ぐ)
分けるのは請求書の枚数ではなく、契約の単位です。同じ顧客に対して顧問契約と単発の依頼が並ぶことがあるので、顧客単位でまとめてしまうと、どちらが終わったのか分からなくなります。
実費・立替の扱いを、請求のどこに置くか
手続きに伴って先に支払うもの(各種の手数料、証明書の取得費用、交通費など)は、報酬と性質が違います。同じ行にまとめてしまうと、後から内訳を聞かれたときに答えられません。
- 請求書の中で、報酬と立て替えた分の行を分ける
- 領収書や証憑を、その案件のフォルダに一緒に残す
- 会計側でも同じ分け方にそろえる(請求書と帳簿で分類が違うと、あとで照合できない)
契約前に確認
立て替えた費用の会計上の扱い、源泉徴収の対象になるかどうか、消費税の取り扱いは、契約の形や業務の内容によって結論が変わります。当サイトでは個別の判断を書きません。顧問の税理士や所轄の税務署へご確認ください。ツールを選ぶ際は「報酬と実費を分けて記載できるか」という形の観点でご確認ください。
入金の消し込みは、契約の単位でそろえる
消し込みは、出した請求と入ってきた金額を突き合わせる作業です。顧問料はまとまって規則的に入り、単発は不定期に入るため、同じ一覧で見ていると抜けに気づきにくくなります。
顧問料は毎月同じ顔ぶれが並ぶので、入っていない先がすぐ分かります。単発は請求そのものを出し忘れていないかを、案件の側から確認します。請求機能と口座の取り込みをどう組むかは会計ソフトの選び方をご覧ください。
相談の記録をどこに残すか
この仕事は、後から「あのとき何と答えたか」を求められます。記憶に頼らず残す場所を決めておくことが、そのまま自分を守ることになります。
案件ごとに、履歴を1か所へ
相談は、電話・メール・チャット・面談に散ります。散ったままだと、探すのに時間がかかるうえ、探しきれなかった分は無かったことになります。案件ごとに1か所へ寄せてください。
- 相談を受けた日付と、その手段
- 相談された内容(相手の言葉のまま)
- こちらが伝えたことと、その前提
- 根拠として見た資料や、参照した窓口
- 次にやること(誰が、いつまでに)
専用のツールでなくても構いません。案件ごとのフォルダにメモを1枚置き、日付を付けて上に足していく形でも成立します。大事なのは、探す場所が1つに決まっていることです。
期限のあるものは、別枠で管理する
申請、届出、更新のように期限があるものを、相談の記録の中に埋めてはいけません。読み返さないと気づけない形になるためです。期限だけを集めた一覧を、別に持ってください。
- 顧客名と、何の期限か
- 期限の日付と、そこから逆算した着手の目安
- いまどこまで進んでいるか
- 誰が持っている案件か
カレンダーの通知だけに頼るのは避けてください。通知は流れますし、その日に休んでいれば気づけません。一覧を開けば、担当が不在でも状況が分かります。
不在のときに見られる形にしておく
1人の事務所ほど、この点が抜けます。体調を崩したとき、記録が自分の頭とパソコンの中だけにあると、誰も動けません。
最低限、顧客の連絡先・進行中の案件・期限の一覧・資料の置き場所の4つが、自分以外からもたどれる状態にしておいてください。誰にどこまで渡すかは慎重に決める必要がありますが、「どこにあるか誰も知らない」よりは安全です。
事務所が2人以上になったときに増えること/1人なら要らないもの
人を入れた途端に必要になるものと、1人のうちは入れなくてよいものがあります。ここを分けておくと、月々の負担を抑えたまま先に進めます。
増えるのは、権限とアカウントの管理
1人なら、自分がすべて見られて問題ありません。人が入ると、その前提が崩れます。担当していない顧客の内容まで全員が見られる状態は、預かる仕事では望ましくありません。権限管理で見る点は次のとおりです。
- 顧客や案件の単位で、見られる範囲を分けられるか
- 管理者と一般の担当者を区別できるか
- 辞めた人のアカウントを、その場で止められるか
- 誰が何を開いたかの記録が残るか
費用の見え方も変わります。人ごとに料金がかかる型だと、人数分が毎月積み上がります。比べるときは、人数を掛けた年額に、共有ストレージの容量や面談ツールの追加分まで足して総額で見てください。
1人のうちは、入れなくてよいもの
次のものは、1人で回している間は入れなくても困りません。
- 細かい権限設定や、承認の手順を組む仕組み
- 案件管理の専用ツール(期限の一覧と案件フォルダで足ります)
- 問い合わせの受付を振り分ける仕組み
1人の段階で必要なのは、共有ストレージ、面談ツール、請求と会計、期限の一覧。この範囲で十分に回ります。入れると管理する対象が増え、設定を見直す時間も増えます。
増やすときの順番
増やす合図は人数ではありません。同じ説明を何度も繰り返している、いま誰がどの案件を持っているか即答できない。このどちらかが出たときです。順番は次をおすすめします。
- まず、資料の置き場所と、見られる範囲の整理
- 次に、期限の一覧を共有できる形へ
- そのあとで、請求の台帳を分ける
- 最後に、案件の管理をツールへ移すかを検討する
契約前に必ず確認
預かった資料が入る道具は、やめるときが特に重要です。契約前に、保存したファイルと記録を自分の側へ書き出せるか、解約後にどれだけの間データが残るのか(あるいは消えるのか)を確認してください。顧客の資料を人質に取られる形は避けたいところです。
道具をそろえること自体は成果ではありません。預かったものが決めた場所にだけ残っているか、期限を自分の記憶に頼らず見られるか。この2つが満たせていれば、構成としては足りています。どこから手を付けるか迷う場合は仕事ツール診断もご利用ください。
よくある質問(FAQ)
-
顧客の資料をクラウドに置いても問題ありませんか?
可否や条件は、資格ごとの定めや顧客との契約によって変わるため、当サイトでは判断を書きません。所属する会や監督官庁の案内、契約書の秘密保持の条項をご確認ください。そのうえで、見られる範囲を限定できる道具かどうかを比べてください。
-
メール添付をやめると、相手が戸惑いませんか?
相手によっては、リンクを開く操作に慣れていないことがあります。最初の1回だけ開き方を案内し、以降は同じフォルダでやり取りする形にすると定着しやすくなります。相手の環境で開けない場合の代替も決めておいてください。
-
オンライン面談は録画したほうがよいですか?
一律に決めず、案件ごとの基準を先に作ることをおすすめします。録画は預かる資料が増えることでもあるため、相手への説明、保存先、見られる人の限定、消すときの手順まで決められる場合に使ってください。
-
顧問料の請求を自動にすると、止め忘れが心配です。
契約の開始と終了を記録した台帳を別に持ち、請求の設定と定期的に突き合わせてください。停止の手続きがいつの請求から反映されるかも、契約前に確認しておくと安心です。
-
相談の記録は、専用のツールが必要ですか?
1人の事務所であれば、案件ごとのフォルダにメモを置く形でも成立します。必要なのは道具の種類より、探す場所が1つに決まっていることと、期限だけを別の一覧で持つことです。
-
スタッフを雇うとき、最初に見直すのはどこですか?
資料の置き場所と、見られる範囲の設定です。全員が全部を見られる状態のまま人を増やすと、後から絞るのが難しくなります。アカウントを個人ごとに分け、退職時に止められるかも先に確認してください。

